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「気分はどう?」
目覚めた俺の視界に、一番に入って来た一人の人。
何処か懐かしさを感じながらも何故か名前が出て来ない。それに不思議と新鮮な気さえする。眩しい蛍光灯の人工的な光りに目を細めながらベッドらしき物に横たわっていた体を上半身だけゆっくり起こした。
「頭とか痛くない?」
「頭……」
特に痛みは感じられない。…と思う。よく解らない。
それに、この人が何故それを俺に聞くのかを逆に知りたかった。訳、解んない。
「僕は裕翔。君は雄也。…解る?君は雄也」
なんで二度も同じ事を言ったんだろう。
俺は、"ユウヤ"。知ってる。それくらい。俺はずっとそう呼ばれていた。
「意識がハッキリしているみたいだね。うん。いい子…」
裕翔の長い指が近付き、俺の髪を絡めとる。小さく微笑む綺麗なその顔に、何故か無性に腹が立った。
殴りたいと思える程に。理由なんか、無い。
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