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ガランとした駅に降り立ち、運賃箱に券を入れる。そうして外に出るとリリアは異様な雰囲気を感じた。その根源は見渡せばすぐに分かった。人が誰一人で歩いていなかったのだ。
確かに村民の人数が少ないとはいえ、普通なら十数人は出歩いていてもいいはずだ。なのに、人の気配が無く静まり返っている。家々は窓もドアもしっかりと閉まっている。恐らくその中でひっそりと身を潜めているのだろう。それにしても一体何故なのだろうか。
リリアは募る不安に自分が嫌な汗を一筋流しているのに気づいた。ふとノアを振り返ってみた。しかし彼は後ろについているだけで何も言おうとはしない。何も思わないのだろうか。
ともかく、先に進んで様子を探ることにした。
静まり返った村の中を二人は慎重に進んでいった。そんなとき、不意に声が聞こえた。
「おい、何をしているんだ」
リリアは声のする方に振り返った。すると、一見の窓の小さな隙間から一人の男性が心配そうな顔を半分此方に見せていた。一度、窓が閉まったこと思えば次にドアの鍵が開く音がした。リリアは状況が分からないまま、しかし何も分からないからこそその住民の話を聞こうと思い、ノアの手を引いてその家に言ってドアをそっとあけた。
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