2.学園都市

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そいつは何食わぬ顔で俺に挨拶をする。 よく見るとそいつの下にさっきまで話していた男がピクピクしながら寝そべっていた。 まさか、上から…? 「大変だったね。」 「え…あ、まぁ…、あ、ありがとうございます。」 「いいよお礼なんて。」 そいつはよっこらせっと言いながら立ち上がると、動く度にぐえっと声を出す男の上から降りる。 「どうせ物取りで近づいたんだろうし。」 「物取り?」 「コイツ」 足元に転がってる男に視線を向ける。 「不況のせいだね。この辺りでも最近多いから。」 成る程、金目のものをとるために俺に絡んできたって訳か…。 つっても俺は丸腰だし何も持ってないんだけどな…。 「この辺りはさびれてて何も無いよ。電車と自衛隊の車両が通るくらい。大通りに出ればそれなりにお店もあるけど。あと、たまにデモやってるかな。」 パンパンと砂埃をとるように服を叩いくと、そいつは首にかけていたヘッドホンを耳に装着した。 「この辺りには詳しいの?」 「まぁね。ずっと住んでるし。」 俺は中央関東生まれだからここらについては何も知らない。 分かる人がいればとても心強い。 例えこいつがもし物取りだとしても俺何も持ってないし…。 でも今会ったばっかりの奴に案内なんて…。 「あ、あのさ、俺、十也っていうんだけど…君、名前は?」 「フォルテ」 ヘッドホンをつけているから聞こえてるかと心配だったけどその必要はなかったようで、その男は答えるとニッと笑う。 「俺の事なんて全然気にしなくてもいいんだけど…まぁでも、名前くらいは伝えておいてもいいかなってさ。」 「そ、そう…。」 いちいち上から目線なのが気になるけど… ここは思い切って頼ってみても…。 「なぁ、あの…」 「ん?お客さんだよ」 「は?」
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