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俺は逃げた。
走った。ひたすら。
日本の東側に広がる関東平野。
日本は10年程前に都道府県制度を廃止。関東と呼ばれたそこは、南関東連合圏と中央関東圏、北関東連合圏の3つの圏に分けられた。
その1つ、北関東連合圏に存在するこの研究学園都市はまさに平和だった時代の名残りだった。
数年前、近隣国で始まった戦争が激化、今では軍を持たない日本までも巻き込み、日本は自衛隊だけでは対処し切れないような状態にまで追い込まれている。
結果国内では憲法改正して軍を持つべきだと訴える軍所有支持派と軍所有反対派が対立、暴動まで起きる始末だ。
その傍らで国が総力をあげて取り組んでいたのが武器や弾薬の確保だった。
最新鋭の兵器を持ち合わせていても弾薬が無いのでは全く意味が無い。
しかしその弾薬は輸入するにしても生産するにしても日本には限度があった。
このままでは自衛もままならない状態になる。
そこで国は新たな作戦に出る事にした。
それが、"新たな武器開発"。
公にはただの武器の研究、開発としているが、それは生身の人間を使った人体実験をも含むものだった。
そこで、親のいない孤児院育ちの俺は格好の標的となったわけだ。
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