1.脱出

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慌てて振り向けば、そこにいたのは案の定、白衣に身を包んだ研究所の職員だった。 「生体ナンバー13…」 見つかった。 やっぱり逃げ出すなんて無理だったんだ。 脱走に、失敗した…! 「クソッ!嫌だ!離せ…ッ!!」 最後の悪あがきのつもりで身体をくねらせた。 振りほどけるなんてこれっぽっちも思ってなかった。 しかし自分でもびっくりするほど、その手はあっさりと俺の着衣から手を離した。 「ついて来なさい」 研究員はそう言って歩き出す。 「…また隔離研究室か?」 「出口を案内してあげるんです。そちらでは警備員がいる。」 「…?!」 その言葉に呆気にとられる。 「…罠?」 「まさか。私は君を逃がして自由にさせてあげたいと思っただけだ。」 「…お前、俺を捕まえに来た訳じゃねえの?」 「そのつもりで来たんだけど、やっぱりやめました。もういいんです。」 「…?」 何なんだ、コイツ…。 研究員は俺に背を向けて歩き出す。 果たして信じてもいいのだろうか…? こいつは研究員。敵だ。 しかしどの道、ここにいてもすぐに見つかるだろう。
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