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深夜1時 とある校舎の屋上
「ならお前は自殺しろ。そうすれば楽になれる」
俺は目の前にいる男子学生にそう言った。
この男子学生の名前は三好孝(みよし・たかし)。
通っている学校で苛めにあっている。今いるこの場所はその学校の屋上である。
《自殺》
これが俺が三好に出した結論だった。
「自殺?無理だ、無理だよ……。僕みたいに弱虫で弱い人間なんかにそんなこと……」
「弱虫で弱い人間ね…。確かにお前はそうかもしれないな。それってお前の考えだと弱虫は自殺できないってことだよな?」
「あぁ…、うん」
「つまりだ、強い人間なら自殺できるってことだよな?だからお前は自殺しろ。自殺すれば憧れの強い人間になれる。そうだろ?」
「ぼ、僕が自殺して強い人間になったからって誰が僕のことを強い人間だって認めてくれるんだよ!?」
「いいか、三好。自分が強いってことは別に他の誰かは知らなくてもいい。自分が強いってことは自分自身が分かっていればいいんだよ」
俺はそう言い屋上の縁に立つ。そして下を覗く。
「さて、この校舎の高さは約15メートル、下はコンクリートだ。死ねる条件は整ってる。あとはお前の心次第だぜ」
三好は下を向いたまま
何も言わない。
「どうする?このまま生きて苛められ続けて弱い人間のまま生きていくか、それともここから飛び降りて強い人間になって楽になるか。どうするんだ?」
「…よ」
「何だって?」
「飛ぶよ、僕は飛ぶ!飛んで楽になる!それで一瞬だけでも強い人間になる!」
そう言い三好は屋上の縁に立った
・
・
・
・
10分後―――
「どうした、飛び降りないのか?」
「飛ぶよ!飛ぶから黙っててくれ」
「飛び降りる勇気がないなら俺が後ろから押してやってもいいんだが」
「うるさいっ!」
そう叫び三好は飛び降りた。
数秒もしないうちに、
グシャリ
と潰れるような音が下から聞こえた。
(ま、あれなら死んだだろうな)
「さて」
俺は携帯電話を取り出し唯一登録してある番号に掛けた。
するとワンコールもしないうちに声が聞こえてきた。
『やあ、終わったようだね』
「あぁ」
『校門の側に車を手配しておいた。私は後始末がしたいから切るよ、それじゃ』
プツッ
「あ、おい!英さん!?もしもしっ!?」
切られた。一方的に切られた…。
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