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約一年前
俺は謎の施設の一室で目覚めた。
「ここは…、どこだ?俺は……」
ガチャッ
「やあ、目覚めたようだね」
男が部屋に入ってきた。
男は俺の寝ているベッドのそばに立つ。
「私の名前は《はなぶさ》。英語の英と書いて英だ」
「英語の英、あの字…そんな読み方もあるのか…」
「ふむ、基本的な学力は残っているようだね」
「残っている?どういうことだ?」
「突然だが君、自分の名前、分かるかい?」
「俺の…名前…?名前……?俺の…名前……何だ…?」
「やはり思い出せないようだね」
俺は何も思い浮かばない記憶を探る。
「名前…、名前……俺の…名前………グッ!!」
突然俺の脳に痛みが走った。まるで脳に砂を擦り込まれたかのようなとてつもない痛みだ。
「無理に記憶を探らない方がいい。それ以上は命に関わる」
記憶を探るのを止めると痛みが退いてきた。
「ハァッ!!ハァッ!!ハァ…ハァ……ハァ………」
「痛みは退いたかな?さぁ、これを見てくれ」
英は俺に一枚の紙をよこした。その紙は数字でびっしりと埋め尽くされていた。
「何だ、こりゃあ?」
「3…2…1…はい、終了」
英は俺から紙を取り上げた。
「この紙には数字が500書いてあった。今の5秒間で君がどれだけ数字を覚えたか調査したい。さあ、書いてあった数字を言ってくれ!」
「はぁ?無茶なこと言うんじゃねえよ。大体なんでそんなこ……と」
俺が言葉を言い放った途端、さっきの紙に書いてあった数字が頭をよぎった。
確実に、且つ鮮明に…。
「今のは……」
「さぁ、早く!」
「まさかな…」
俺は大きく息を吸った。
そして頭に浮かんだ数字を全て読み上げた。
「571686………………………………………………7941433」
「……素晴らしい…。素晴らしいよ、君っ!!やはり君は素晴らしい。見込み通りだ。君はやはり最高の【ロストチルドレン】だよ。君には早速様々なスキルを身に付けてもらおう。そして」
「おい待て!勝手に話を進めるんじゃねえよ!見込み通り?ロストチルドレン?スキルを身に付ける?何を言ってやがる!?」
「おっとすまない。ついつい興奮してしまったよ。そうだね、君には色々と説明しなければならないね。それじゃ」
英はベッドの隣にある丸椅子に座り足を組み話し始めた。
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