~第一章~

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約一年前 俺は謎の施設の一室で目覚めた。 「ここは…、どこだ?俺は……」 ガチャッ 「やあ、目覚めたようだね」 男が部屋に入ってきた。 男は俺の寝ているベッドのそばに立つ。 「私の名前は《はなぶさ》。英語の英と書いて(はなぶさ)だ」 「英語の英、あの字…そんな読み方もあるのか…」 「ふむ、基本的な学力は残っているようだね」 「残っている?どういうことだ?」 「突然だが君、自分の名前、分かるかい?」 「俺の…名前…?名前……?俺の…名前……何だ…?」 「やはり思い出せないようだね」 俺は何も思い浮かばない記憶を探る。 「名前…、名前……俺の…名前………グッ!!」 突然俺の脳に痛みが走った。まるで脳に砂を擦り込まれたかのようなとてつもない痛みだ。 「無理に記憶を探らない方がいい。それ以上は命に関わる」 記憶を探るのを止めると痛みが退いてきた。 「ハァッ!!ハァッ!!ハァ…ハァ……ハァ………」 「痛みは退いたかな?さぁ、これを見てくれ」 英は俺に一枚の紙をよこした。その紙は数字でびっしりと埋め尽くされていた。 「何だ、こりゃあ?」 「3…2…1…はい、終了」 英は俺から紙を取り上げた。 「この紙には数字が500書いてあった。今の5秒間で君がどれだけ数字を覚えたか調査したい。さあ、書いてあった数字を言ってくれ!」 「はぁ?無茶なこと言うんじゃねえよ。大体なんでそんなこ……と」 俺が言葉を言い放った途端、さっきの紙に書いてあった数字が頭をよぎった。 確実に、且つ鮮明に…。 「今のは……」 「さぁ、早く!」 「まさかな…」 俺は大きく息を吸った。 そして頭に浮かんだ数字を全て読み上げた。 「571686………………………………………………7941433」 「……素晴らしい…。素晴らしいよ、君っ!!やはり君は素晴らしい。見込み通りだ。君はやはり最高の【ロストチルドレン】だよ。君には早速様々なスキルを身に付けてもらおう。そして」 「おい待て!勝手に話を進めるんじゃねえよ!見込み通り?ロストチルドレン?スキルを身に付ける?何を言ってやがる!?」 「おっとすまない。ついつい興奮してしまったよ。そうだね、君には色々と説明しなければならないね。それじゃ」 英はベッドの隣にある丸椅子に座り足を組み話し始めた。
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