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しかし、叫んでいても準備は進まない。
直ぐに洗面所へと向かい、顔を洗う。
冷たい水を顔に叩きつけ、いまだに若干不明瞭な意識を覚ます。
そのまま髪の毛を軽く手櫛で整えながら歯磨き。
手櫛ではあまり寝癖が治らず、所々が跳ねているがしっかり直すほど時間に余裕が無いのでそのまま歯磨きを続けていく。
鏡に写る陸の顔は……個性が薄かった。
よくある耳にかかる程度の短髪、ぼんやりと開かれている目、鼻筋……
クラスを見渡せば必ず一人は居るタイプ、と言えば分かりやすいだろうか。
10人に彼の印象を聞いた時、そのうち8人は彼のことをこう評した。
『普通』
と。
ちなみに、残りの二人はそれぞれ一人が「どちらかといえばイケメン」、もう一人が「なんか可愛い」だった。
……ちなみに、「可愛い」と答えたのは男。
男性らしい特徴が無い分、少し中性的な雰囲気があるようだ。
あまりにも個性が無さすぎて、一時期「個性が無いのが個性」とどこぞのジ○のような扱いをされていたこともある。
本人もそれは自覚しており、今はもう諦めているようだが。
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