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「死にませんよ。徹は…彼は死んでません。だから、諦めません」
正直、人と話したい気分ではなかった。
優しく声をかけられたくなかった。
これから会う人の事を考えると、どうしようもなく悲しい気持ちになるから。
だから、祈りを込めて呟いた。
正直今でも実感できない。
悪い夢を見ているように思える。
全ては長い夢で、目覚めたら、お調子者の幼なじみが笑っているのをまた見られる気がする。
「そっか。そりゃあ良かった」
運転手は咲恵の返事に安心した様で、再び目尻に皺を作った。
不覚にも、涙がこぼれそうになった。
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