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故郷の風は冷たく乾き、駅の改札口を通ったばかりの咲恵を掠めながら走っている。
学生時代によく寄り道した駅前の小さなカフェは、改築され、カラオケボックスになっていた。
夫婦が二人きりで営んでいたそのカフェは、放課後の高校生の溜り場だった。
子供に恵まなかった夫婦は、学校の噂話や恋話、流行りの音楽などについて話す私達を、微笑みながら見ていた。
「あんた達は私達の子供みたいなもんだから、可愛くてしょうがないよ」
おばちゃんと呼ばれていたマスターの妻は、いつもそう言って笑っていた。
原色が眩しいカラオケボックスの外装を見ていると、無性に寂しくなった。
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