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「毎度ー」
「ねー、筒井はいないの?」
「何が?」
「愛しのハニーちゃん」
とたんに筒井の顔が赤くなる。
「いるんだぁ!…で?どんな子?」
「八歳年下で、ちっちゃくて…」
「安斎っ!余計なこと言うな!!」
筒井が安斎の口をあわてて塞ぐ。
ついでに安斎の鳩尾にエルボーをヒットさせた。
安斎は腹を押さえて呻いている。
「中園、用事が済んだら角のバーに来いよ。安斎が奢るってよ!」
「マジで!?行く行く!!じゃあ、後でね!」
「うん。後で」
手を振り、店を出る。
そのままタクシーを拾いに駅の方へ戻る。
途中、二人の女性とすれ違った。
片方は筒井の妹の蘭だった。
蘭は咲恵に気付かない。
蘭の隣で笑顔の女性は、少女のようなあどけなさを持っていた。
二人は仲良く花屋に入って行った。
ふと、安斎が言っていたことを思い出した。
八歳年下で、ちっちゃくて…
ということは?
あの少女のような女の子は、きっと筒井の恋人なのだろう。
今夜バーに行ったら、目一杯からかってやろう。
ニヤつく頬を押さえながら、咲恵は駅に向かった。
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