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「お、気がついたかい?」
目を覚ますと、視界にいわゆる保健の先生が映った。
胸が大きく、茶髪のポニーテールと大きな目が彼女に快活そうなイメージを与えている。
彼女はマグカップを両手に持ってこちらにやってきた。
コーヒーかな?
「気分はどうだい?」
「もう特に気分が悪いとかはないです」
「そうかそうか。顔面蒼白で君がここに運び込まれてきたときは、正直びっくりしたよ。彼氏くんから聞いたが、朝ごはん食べてないんだってね?」
そう言いながら、花瓶のおかれた小さなカラーボックスに僕の分のマグカップを置いてくれた。
やっぱりコーヒーだったか。
「あはは…、朝はちょっと時間なくて急いでたものですから。ちなみにそいつは彼氏ではないですし、僕は男ですからね?」
どんだけ女顔なのさ、僕。
僕がそういうと、何故か保健の先生は思わず噴き出した。
「あははは!胸のある男がいるわけなかろう。くくっ、何を言い出すんだ君は」
「……えっ、え!?」
思わず起き上がって下に目を向ける。
「ウソだ、本当に胸がある…」
しかも買った覚えのないブラジャーまで着けている。
何が起きているのか、いまいち状況が理解できない僕を、授業終了のチャイムが置いてきぼりにした。
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