プロローグ

4/15
前へ
/194ページ
次へ
  その墓はかなり以前より、無縁仏になっていたため、男は不審に思い、少年に近づき、背後から声をかけた。 「坊ちゃん、お墓参りですか?」 その墓に相当、思い入れがあったのか、後ろから近づいてきた男に全く気付かなかった少年は、驚いた様子で振り返った。 小学5、6年生だろうか? 黒々とした艶やかなストレートヘアーは、坊ちゃん刈りで、黒い瞳はとても愛らしのだが…… その肌は蝋のように白く、墓の前に立つ少年の印象は、男の目には、とても薄気味悪く映った。  
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

548人が本棚に入れています
本棚に追加