意地悪な高校教師

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「青山高校の……先生……」 「2年4組担任、英語担当の葉ノ倉一樹です」 彼は頬杖をついたまま、不敵な笑みを浮かべてそう言った。 今、目の前にいるこのからかい好きなイケメンが先生…… しかも、市内で一番偏差値高い、あの私立青山高校の先生…… 次から次と明らかになる事実に、頭から煙が出そうなほど混乱していた。 この人…… 一体何者かと思ってたら、まさか学校の先生だったなんて…… 「て、ていうか……先生が人をからかわないで下さいっ!」 「はあ?いつ俺がからかった?」 彼は眉をひそめて私を見た。 「は、初めて会った時とか、こないだとかっ、それからさっきも興味あるなんてっ……」 思い出しただけで、瞬く間に体が熱くなって、そのまま言葉に詰まってしまった。 バカだ…… この人は、私をからかってるだけなのに…… 思い出した途端、喋れなくなるなんて…… 着ていたカーディガンの裾をキュッと握りしめた。 「……興味ない女と飯行くほど、暇じゃないけど」 「……え?」 顔を上げた途端 「お待たせしましたー!醤油ラーメンと味噌ラーメンでーす!」 タイミング良く店員さんがラーメンのどんぶりを二つ運んで来て、テーブルに置いた。 美味しそうな匂いが、体にふわんと吸収されて行く。 「あー腹減ったー。じゃ、いただきます」 彼は子供みたいな声を出し、一人でさっさとラーメンを食べ始めた。 『興味ない女と飯行くほど、暇じゃないけど』 体が再び、じわりと新しい熱を持つ。 何を考えてるのか分からない。 何処まで本気かも分からない。 表情を読む隙すら与えてくれない、ポーカーフェイスで意地悪な高校教師…… だけどその言葉一つ一つに、私は簡単に落ち着きを無くしてしまう…… もしそんな事知られたら、あなたはまた読めない表情で笑うんだろうけど……
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