序章

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「それじゃ、行ってくるよ。おばさん。 」 広い、石畳の大通りにボクの声が響く。 しょいかごに昼食と水筒を入れた肩掛け鞄、 ブーツという出で立ちは、どこからどう見ても登山者だ。 「行ってらっしゃい。 山道は気を付けて」 クレアおばさんの元気な声。 ボクはそれを背中で受け止め、歩き出す 。 この時期、ボクの住むアシュメール村からほど近い山で、沢山のきのこが取れる 。 食料が少なくなっているこの村では、貴重な栄養源だった。 穀物や野菜、家畜といった農業が盛んな アシュメール村。 かつては食べ物に困るような村ではなかった。
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