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こんな時漫画とかアニメだったら短い時間の中でも限られた残り時間でも
色んな心残りを思い返して後悔を最期に公開するんだろうけれど
そんな事よりせめて通り魔に一発でも食らわせてやりたかった
俺はもっと生きたい
あんなイカれた奴よりも長く永くこの地面に両足をついていたい
こんな早くに終わるなんて嫌だ
俺は生きられない程悪い事でもしたのかな生きてはいけない程
「君は何も悪くない」
下駄がアスファルトを鳴らしにコン、と音色を奏でたかと思えば天気雨が動かない俺の身体を益々冷やして
辺りが霧の中みたいに真っ白に染まって気付くと目の前に黒い着物を着たサングラスの男が立っていた
あんたは誰だと言葉さえ声に成らなくても男は口の動きで理解したのか少しだけ屈んでまた口を開いた
「僕は椿、君を迎えに来たよ」
椿と名乗った男は俺に着ていた羽織を被せて軽く自分の指先を少しだけ切り
垂れてきた赤い滴を俺の唇を親指で抉じ開けて咥内に数滴落とした
思わず口を閉じて吐き出そうとしたが口を押さえられて飲み込んでしまった何て強引でイカれた奴なんだろう
「どうだい?」
「何がどうだいだ………あれ?」
椿の質問に俺は日常会話をする様に答えられて自分の変化に自分だけが驚いた
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