多分、初恋。

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都に言われるうちに、 いつの間にか 流されやすい性質のあたしは 雅先輩のことを意識するようになっていた。 ………とはいえ、一言も喋ったことがないのだが。 所詮、恋なんてこんなものだ。 「ったく、部活だって 雅と一緒のバスケ部にしちゃえば 距離も縮まるってのに。 なのに何よ、花のJKが 帰宅部だなんて。 青春は一回だけっつーのにさ!」 いつの間にやら 都のメイク直しが終わったらしく、 完璧なその顔に皺をつくりまくって あたしの目の前に指をつきつけた。 美人が台無しの滑稽な表情に、 あたしは苦笑しながら答えた。 「は、はぁ………。 でもバスケとか苦手だし。 小中学生の時のバスケのテスト、覚えてる?」 「あ、うん。 ドリブルやシュートとか、 くっそ簡単なのばっかりだったけどね。 何のためにあるのかね、あれ。 それが?」 真顔で返す都。 あたしはその続きを言うことが躊躇われた。 「あれ、あたし毎回追試だから」 都の表情が固まった。 「そ、そりゃあバスケ部は厳しかったかもね、あははは………………。」 毒舌で、切り返しの上手い都が 珍しく本気で驚いているのが感じ取れた。
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