多分、初恋。

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「そ、そんな驚かなくたっていいじゃん。 …………何よ、その火星人でも見るような目は」 ジト目をするあたしに対し都は頭を掻きながら、 「いやぁ、別に大丈夫でしょ。 バスケで追試になるコって、 欠席者と怪我人くらいしか聞いたことなかったから、 ちょっぴりびっくりしただけだよ」 と、擁護でもなんでもない毒舌を吐いた。 彼女のこういう所は、 怒りを通り越して尊敬すらしてしまう。 「ケッ。どーせあたしは運動音痴ですよ! それよりさぁ……」 あたしは取り敢えず、 恥ずかしいので この話題を終わらせようと 話題転換を試みた。 「うーん………それにしても、 元気なコが、どうやったら バスケで追試になんてなれるのかしらねぇ」 「くどいわ!!!!」 思わず突っ込むあたしに、 都は盛大に吹き出した。 「ふふっ…………はるって面白いっ」 「それは弱者への嫌みかっ!!」 都は相変わらずの さらっとした口調で 「おぉ、ナイス連続ツッコミ」 と笑った。 あぁ、 やっぱり都には敵わないなぁなんて つくづく思う。 だけど 都がチョーシに乗るのが目に浮かぶから、 絶対にそんな事言ってやるもんか。 あたしは 都に適当に笑いながら そういえば、と昔に思いを馳せた。
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