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小学一年生の頃、
ボールを投げようとしても
重すぎてて足に落としてしまい、
大泣きした記憶や
小学五年生の頃、
ドリブルが二回止まりだということに
男子らにからかわれた忌まわしき記憶がある。
中学生のときは……
追試者が二人だけで、
恥ずかしーなんて言いながら
笑ってたっけな。
それでも出来なくて、
再追試、再々追試―――何処まで記録更新出来るか、なんて開き直って、
それはそれで楽しかったな。………………………………………………………………………………………………………………………………………
…………あれ?
都に相槌を打つ動きが、
一瞬止まった。
そのもう一人の顔が、
何故か
靄がかかって思い出せないのだ。
それと
ドクン、ドクンと高鳴る鼓動と共に
あたしの内側から溢れ出しそうになるこの感じはなんだろう。
顔がきゅうっと熱を帯びて、
「……え、はる。
いきなりどうしたのそんな顔赤くして」
と苦笑混じりで驚かれる。
「……あ、いや。別に何でもないよ。
ちょっと暑いかな、
セーター脱ごうっと」
都は流石気配りの名人と言うべきか、
細かく追及する事をしなかった。
「あぁ、そう。まぁ良いけど。
雅のこと思い出したとか?
あっ、
次の授業始まるから早く行こうぜー」
「あっ、やばっ。行こー」
都と手を繋いで急ぎ足でトイレを出たあたしは、
心の中で都に答えた。
―――この感覚は、
雅先輩に対して感じるドキドキと少し似てるよ。
だけど、そんなんじゃないの。
もっともっと、
深くて温かくて、
実体の掴めない感情なんだ。
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