プロローク-陽炎少女-

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彼女には私が見えていたのだろうか? いや、 真夏のアスファルトに浮かぶ陽炎に紛れて 見えていなかったのだろう。 或いはその記憶ごと闇に消えてしまったか。 あの日から、 彼女と私はお互いに親友になった。 欲望と嘘で固められた、 偽りの親友に。 いつでも純粋だった彼女の人生を、 ねじ曲げてしまったのは私だった。 私が聞いた、 純粋で明るかった頃の彼女の 最後の言葉は―――― "スズ" ―――――――――――――― 校門の前にひとり佇む男子高校生が、 破られてボロボロの紙切れを見つけた。 字を追うごとに 男子高校生の瞳が揺らぎ、見開かれていく。 「……………はる……?」
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