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「何がかすり傷だよ、準太、君はいつも」
拓夢が、頬を引きつらせながら準太に目をむける。
「余計なお世話だ。それより、線香ない?」
準太が、周りを左右にみわたす。
「墓参り来たんだろう」
「ああ」
「なら、なぜ線香を持ってこない?」
「俺は毎回ココ、君のおばさんに貰ってるからだよ、知らないの?心外だね」
準太は、子供の様にふて腐れた顔をしながら、鼻歌を歌いだした。
「ここはカラオケではない」
拓夢が、準太の鼻をつまみ上げる。
「水臭いこと言うなよ」
「何が水臭いだ。言葉の使い方が間違ってる」
「わかった。悪かったよ。それで、彼を何故ここに呼び出してる?」
準太が、手に持っていた携帯をポケットにしまってから言った。
「僕は彼、いえ、陽人くんに話つまり聞きたい事があって」
「彼に聞きたいこと?」
準太は首を傾げる。
「彼には君の半年前の事件の話をしておこうと思って」
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