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「ジンクスがあるんだ」
「ジンクス?」
旬は私の手から、雑誌を取り上げると
イサの写真を、指でパチッと弾いた。
「そう。このコーナーに取り上げられた新人は、必ず……売れるって」
本来なら、胸が躍りそうなその言葉は
少しだけ私の胸をチクリと刺した。
イサが私の隣から
一歩ずつ違う道を歩いていく度
何だか胸を刺すチクリ具合は
日に日に増してきて。
ずっと願ってた
イサの夢が叶ったんだから
彼女としてはこんな時
もちろん喜んであげるべき。
でも……
私とイサが歩いてる、ふた筋の道が
どんどん大きな角度を開いていくと
喜びと不安の天秤は
その度に、ゆらゆらと揺れる。
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