ご褒美

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私は、櫻井課長が来てから今まで以上に仕事を頑張った。 櫻井課長に使えないやつって思われないように。櫻井課長は、私がどんなに些細な質問をしても丁寧に教えてくれた。 普通、管理職だったら忙しくてイライラしてそっけない対応をする時があってもいいようなものなのに…。 私の最近の頑張りに神様がプレゼントをくれたのか、新規で大きな契約が取れそうなチャンスがやってきた。 その日、営業から帰ると櫻井課長がちょうどデスクにいたので、 「課長、今お時間いいですか?」 パソコンのキーボードから手を話すと櫻井課長が、 「どうした、綾瀬。」 「あの、新規でまとまった金額で検討して頂いてる方がいて、明日アポが取れたので同行お願いできませんか。」 「綾瀬凄いじゃないか、都合は綾瀬に合わせるよ。」 櫻井課長はそう言うと私の頭をぽんと叩いた。 まだ契約は取れてないけど、頑張って良かった。櫻井課長が頭に触れた感触が家に帰っても忘れられず、どきどきした。
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