恋心

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今日1日は、平常心を保とうとして、逆に課長を意識しすぎて、仕事に集中できなかった。 幸いな事に、藤田君は忙しかったみたいで、顔をあまり合わす事はなかった。 藤田君に何もつっこまれなくて、良かった。 仕事も終わり、エレベーターに乗って、帰ろうとしたら、そこへ、 「お疲れ。」 「!!」 課長が後ろから声をかけてきた。 どうやら課長は、まだ今から客先に行くみたいだった。 私は、慌てて 「お、お疲れ様です。」 と言った。 そこへ、 チーン… とエレベーターが鳴って、二人で乗り込んだ。 何をしゃべっていいか分からない。 だって、いきなり課長が現れるんだもん。 「舞。」 課長がいきなり下の名前を呼んだので、私はビックリして課長の方を見た。 チュッ 「!!」 いきなり課長の顔が近づいてきて、キスをされてしまった。 私は、予想外の出来事に課長の方を見たまま、固まってしまった。 課長は、くくっと笑いながら、 「二人きりの時は、そんなにかしこまらなくていいよ。じゃ、お疲れさん。」 と言って、先にエレベーターを降りて行ってしまった。 ・・・・。 私は、フラフラと駅の方へ混乱しながら、歩いて行った。 課長!! 私の足りない脳ミソじゃ、パニックを起こしそう。 課長が何を考えてるか、さっぱり分かんないよ。 でも、課長、大好き…。 後から思えば、この時ならまだ退きかえせてたのかもしれない。 この時の私は、何も考えず、自分の感情のまま突き進んでしまった。
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