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暑い、暑い、外回りに出ると、汗が止まらない。
季節は、すっかり夏になった。
外回りから戻ると課長が、
「綾瀬、夏休みの希望の日、出しとけよ。」
と言われた。
「はい、分かりました。」
私が勤めてる会社は、お盆休みがなく、皆が交代で、休みを取る。そのため、希望の日を出して調整をする。
そこへ藤田君がやってきて、
「綾瀬、夏休みどうすんの?」
「友達と海外旅行に行くよ。」
と私は、言った。
藤田君はからかいながら、
「相変わらず寂しい人生、送ってるなぁ。」
と言った。
私は、ムッとしながら、
「余計なお世話です。」
と言った。
「櫻井課長に癒してもらえば。」
藤田君は、未だにこの話題を振ってくる。私は、藤田君には何も話していない。
私は、いつも通り適当に流して、
「もぉ~、課長には奥さんがいるんだから!」
と、自分で言って少し傷つく。
普段は、なるべく課長に家族がいる事を考えないようにしている。
ただ、こういったふとした瞬間に思い知らされる。
どんなに好きでも、どんなに同じ時を過ごしても私は、課長の一番にはなれない。
暗い気持ちになりそうになるのを奮い立たせて、私は仕事に戻った。
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