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藤田君も携帯のバイブの音に気付き、
「出なくていいの?」
と聞いてきた。
私はポケットから携帯を出し、
「ちょっとごめんね。」
と言った。
携帯を見たら、メールだった。
『元気?』
櫻井課長!
私は予想外の人からの連絡に、一気に顔が緩んだ。
藤田君に
「何ニヤニヤしてるの?」
と言われてしまった。
ヤバい!!
顔を引き締めて私は、
「ち、違うよ。」
と言った。
「ふ~ん。怪しい。」
「だいたい課長が私に連絡してくるわけないじゃん。」
と慌てて言った。
「まっいいけど。」
と藤田君は言ったけど、納得はしてないようだった。
課長との事だけは会社の人にバレるわけにはいかない。
私は携帯をパチンと閉じて携帯をしまった。
家に帰って来てから私は、課長にメールをどうやって返そうかあれこれ考えていた。
課長が休暇中で、家族と過ごしていても、私の事を忘れていなかっただけで嬉しかった。
私はあれこれ考えたあげく
『元気です。でも、課長がいなくて仕事がやる気が出ません。』
と送った。
本当は、課長がいなくて寂しいって、送りたかったけど、それはちょっと勇気がなかった。
しばらく携帯の前で課長から返信を待っても返信がなかった。
お風呂の時も、トイレの時も、肌身話さず携帯を持っていたけど、結局課長からの返信はなかった。
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