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目を爛々と輝かせているマニラと、意外にもいつもよりややテンションが高い……ように見えなくもないカレハに、「なぜ」という意思を込めてジッと見つめてみた
まさか伝わるとは思わなかったが、それに応えてくれたのはマニラだった
「ふふーん。前々から気になってたんだから。喋った瞬間にモテまくること間違いなしのミクルちゃんがなんで口を閉ざすのか」
「憶測の域を出ませんが、敢えて予測を立てるのならば所属ギルドの評判を加味して何か制約の一部、つまり喋らないことで何か力を得ているのか、という結論に至りました、とカレハは興味津々で御託を並べます」
「………」
いや、あの、そんなに迫られても困るんですけど
ズイッと距離を詰めて来るカレハに困り、なんとか表層を保ちながらマニラに目くばせを送る
だってそんな……制約?なんて大層なものは背負ってないし、俺が口を開いた瞬間詰め寄って来るのとかどうせリョウぐらいだろ
あ、でも俺今灼眼さんなのか……むぅ、さらに喋れないな
なんて、心なしか鼻息を荒くするカレハにたじたじしていると、ため息がマニラから洩れた
「あのね、ミクルちゃん。カレハが言ってるのは気にしなくてもいいけど、つまりはミクルちゃんにはもしかしたら心に決めている人がいるんじゃないかって、女子の間では専らの噂なのよ」
それにハクもごにょごにょ……と最後だけよく聞き取れなかった、なんてことはなくちゃんと聞こえてしまうチートスペックなわけで、なるほど、ハクが俺にべったりだから早く俺に男を作れと、それで姉離れを完了させろと、そう言いたいんだな
だがしかし、俺にそんな趣味はない。男を作るなんて………おえ
そんな内面の苦汁を飲んだような心情が出てしまったのか、慌てたようにマニラが言葉を付け足した
「あ、あ、違うのよ?ただミクルちゃんってなんだか周りを遠ざけてるじゃない?ハクはそうでもないのに」
「むしろハクを率先させている節があります、とカレハは今までの観察の結果を報告します」
……よく見てるなぁ。確かにその通りなんだけどさ
ハクはあれでも捨てられ系の主人公だし、そろそろ離れさせないと来るべき時に立ち向かえない気がする。だからこそ面倒くさい学園にまで来たんだし
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