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そんな折、そろそろ気付かれるかなと思った瞬間にダークエルフの食事動作がピタッと止まった
ゆっくりゆっくり振り向き、流石エルフだけあって綺麗な顔の造りをしているが、そんな造形を無かったことにするほどの堕ちた笑みを見せた
ニヤリ、とかそんな、背筋がゾクリとするものだ
「……ッ!」
その瞬間、気持ち悪いぐらいの濃い魔力が放たれ、マニラとカレハが苦しそうに冷や汗を掻き始めた
改めて俺の身体はチートなんだなぁ、と恩恵に感謝感激雨嵐しながら、でもランクアウトなんて想像も出来ない相手を前にして恐怖を前面に出さないのは将来が有望だなと思う
ダークエルフはそんな二人の様子を見て気分をよくしたのか、持っていたアンダードラゴンの食いかけに一度かぶりつき、咀嚼したのち、ペッと何かを吐き出してーーー笑った
ドッッッ!!と空気を震わす衝撃が辺りに拡散
「……ッ!」
後ろで驚く気配を感じるが、ジッと目の前の下卑た笑みを浮かべるダークエルフから目を逸らさない
一瞬で移動してきたダークエルフが、学生には肉眼でとらえることすら叶わない速度で背中の棍棒をマニラに振り下ろした
それを見切って頭の上で腕をクロスして防御。マニラが驚いたのは急に目の前に来たダークエルフと、同じく防御した俺両方にだろう
さて、お次は、とキッと睨むと、再びニヤリと笑ったダークエルフが棍棒から手を離してがら空きの俺の腹へと掌底一発
それを膝でガードし、さらに重力落下してくる棍棒をシュート
それを寸でのところで躱したダークエルフが一旦距離を取った
上半身をだらーんとしながらも唇をペロっと舐める仕草に、前世ならば泣いてたかもしれない。それぐらいの雰囲気だ
「ミ、ミクルちゃん……」
「………」
後ろからはなにがなんだか、という雰囲気と、カレハのジッという視線が感じ取れるが、俺自身この間のボクちゃんとの決闘は不完全燃焼極まりないものだったため、ちょっとワクワクしている
なので、
「『マニラとカレハは「翼龍の咆哮」にいる』」
言った瞬間、二人の気配が消えた。最初から無かったかのように、もしくはそうなったかのように、消えた
久しぶりの『現実設定』の発動にちょっと楽しくなってきた
前世じゃ喧嘩や痛いのは嫌だったのになぁと思いながら神経はダークエルフへ
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