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「なにやってんですか……ハルさん」
「ふんふ………」
「………」
「………」
「………」
「………」
いや、ちょっと固まられても困るんですけど
なにこの沈黙。なにこの子供が両親のイケないところを見たようなこの気持ち。いや、物心ついたときにはもう両親むしろ逝ってたんだけどさ
なんていうの、例えるならそんな感じなわけだ。つまり超気まずい
「えぇと……俺は何も見てませんし口外もしません安心してお風呂を楽しんでください俺も俺でお風呂入るのでそれじゃ」
「待て待て待て舞て待て待て」
もう異空間と言っても過言ではないここから脱却し極楽浄土へと向かうため、なぜか女湯にいたハルさんから身体を反転させ早口でまくし立てると、肩をガシッと掴まれた
タオル巻いててよかった。それより痛いんですけど
「待て、舞ってくれ、誤解だ、これは誤解なんだっ」
「いや、あの、ほんと大丈夫なんで。俺口は堅いんで。なんなら学園でも無口キャラなんで」
「別にあの変態どもみたいな思惑があってここにいるわけじゃなくてだな、信じられないと思うが昨日とは違うここの従業員に男湯に入るところを止められたんだしかもその後なぜか俺のこと見張るように見て来るし信じてくれ」
相当焦っているのか早口で言いのけ、さらに肩を掴む手の力も強まってきている。まるで万力に挟まれているような気分だ。うん、サンドイッチ
「ちょっと一旦落ち着きましょう。俺はハルさんを信じますし、昨日のあれが証拠でしょうし」
昨日もたしか従業員さんに無理矢理こっちに連れてこられた様子だった。自分の意思で来たならあんなに顔を赤くしなかっただろうし
俺の落ち着いた対応に拍子抜けだったのか、背を向けているため表情は見えないが手の力が抜けたのでそうだと思う
「……そ、そうか……ならいいんだが……」
「……?どうかしました?」
なんだか戸惑っているようなので聞いてみた
ハルさんは少し言いずらそうにし、
「いや……俺が言うのもなんだが……年頃の女の子の反応と違うなぁと」
「………ソ、ソンナコトナイデスヨー」
「そうか?……まぁ俺としては救われたんだけど。悪かった」
「イ、イエイエー」
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