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「うわぁ……!」
ハクが思わず声を漏らし、続くように現実だと理解した面々が感嘆の声を漏らし始め、俺はというと茫然というかなんというか
「ふふ、ようこそ『聖国』へ」
マスターがほほ笑みながら言った言葉によって、眼前に広がるあまりにも突飛な光景がリアルに存在しているのだと思考が追いついた
あまりの光景にキョロキョロとしてしまっても仕方がない。何せ景色が森林から一変、それも360°一周して変わってしまった
肥沃な土壌特有の、固い地面の中にもふかふかさがある感触から一変、ふかふかはふかふかでも、フカフカになり、つまるところマシュマロの上に立っている感覚だ
しかもそんなフカフカな地面が、振り返った先の今まで通ってきた道までそうなっており、別の場所に移動したのではないかと思ってしまう
そして、なんといっても煌びやかな装飾と、それに飾られる施設の数々
ここから見えるだけで、ジェットコースター、観覧車、コーヒーカップ、お化け屋敷、バイキング、ゴーカート、あの、あれ、一気に高く上がって一気に落ちて来るやつなどなど、様々な施設が群雄割拠としていた
「遊園地……」
そう、デートスポットにするもよし、休日に家族で来るも良し、来れば楽しいことは間違いない遊園地である
「ふふふ……色々と混乱はあるだろうけれど、今は何も聞かずについてきて頂戴」
まるでドッキリを仕掛けたお母さんのように、目を輝かせる子供たちを見守るかのように目を細めて微笑みながらマスターが先導
ハルさんやグラスさんも満足といったご様子でそれに続き、身体はちゃんと付いて行くものの、目は忙しなく景色に奪われること数分
フカフカな床を踏みしめながら着いたのは、某夢の国に出てくるような巨大なお城だった
それを見た瞬間、夢の国の使者(黒服)が襲って来るんじゃないかと思ったが、まったくそんな気配は無く、物怖じ一つせずにマスターが開帳
一瞬だけ人口ではない太陽の光に目が眩んだものの、慣れてみればなんてことない、植物が生い茂っていたあの森林とは違ってちゃんと居住区も整備された、一般的に『街』と言っても相違ない集合体があった
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