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自分の興味のあることってなぜこうも知識欲が湧くのか。今俺はきっとちょっと前のめりになっているだろう
そしていざ、カームさんの正体がわかる時が来た!というところで、
「ダメじゃないカーム」
思わずひょ?って声が出そうになった
真後ろ、それも至近距離から聞こえてきたのはこの部屋にいるはずのない人物の声。失礼だとは思うがそろそろ人間かどうかも怪しくなってきたと、最近のミクル脳内会議で決まった人だった
次いでガチャ、っと俺らが入って来た部屋が開き、そこからハルさんとグラスの顔が。もう決定ですねこれは
「お前いきなり消えるなよな。案内してくれた人が困ってたぞ」
「女は身軽なものなの。ちゃんと掴まえておかないとどこかに行っちゃうわ」
「お前を捕まえられるやつなんぞいてたまるか」
そこでようやく振り向くと、腕を胸の前で組んだいつも通りのマスターの姿が。いやこんなことできるのこの人ぐらいなんだけどさ
この三人が戻って来たということは謁見は終わったのだろう。そして会話から察するに終わった途端にマスターが消えた、と
いや、そんなことよりもだ
元々部屋で待機してた組からの視線がすごい。なんだろう、このお預け食らったような雰囲気は
「あの……」
「あら、ごめんなさい。仲間内での会話コミュニケーションは大事だものね。でもね、覚えておいた方がいいわ」
そこで言葉を切り、すっと顔を俺に近づけ、
「あなたはまだ知らなくていいことよ。時が来たらわかるから、ね?」
囁くような艶っぽい声にゾワッとしたが、色々な含みが感じられ、何も言えずに突っ立ってしまった
そんな俺をクスクスと笑い、マスターはカームさんの下へ
そこで俺にも聞こえないほどの会話を二、三交わしてマスターが全員に向けて言った
「まだこの国に来た理由を説明していなかったと思うの。それを今から発表するわ」
その言葉でようやくハッとなり、カームさんの秘密を聞けなかったのは残念だがマスターのことだしきっと何か考えがあるのだろうと無理やり押し込め、そういえば聞いてないなと意識を戻した
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