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「おいおいちょっと待て。俺もそれ聞いてないぞ。ただの旅行じゃないのか?」
マスターが発表する直前にハルさんが口を挟む。ハルさんですら聞いていないということは、きっとただの観光と聞いていたのだろう。俺もそう思ってたし
「観光旅行もいいけれど、日程はまだまだあるんだし、それだけじゃつまらないでしょう?折角あまり来ないようなところに来ているのだし、そこでしかできないようなことをしなくちゃ損よ」
「まぁ……そうりゃそうだが」
確かに。予定など何も聞いていないが、ただ観光するだけではもったいないというのもわかる。ただ旅行に来て観光以外にすることなどあるだろうか
なんだろう、と首をひねっていると、マスターが簡単に言った
「だから、この国の神を殺しにいくことにしたの」
神を殺しに……神を殺しに……え?
いや、あの……え?
冷静になれミクル。今マスターがとんでもないことを言ってのけたような気がするがそれは気のせいだ。きっとみんなもそうに違いない。マスターいつも通り微笑を浮かべているし、きっとこれはネタなんだ
と、思っていた時期が僕にもありました
周りを見ると困惑しているのはなんと最近ギルドに入った組だけ、つまり俺と姉さんとハクとロイとルイちゃんだけなのだ。ルイちゃん当然意味は解っていないが
「はぁ……思いっきり仕事じゃねぇか。それに見てみろ、知らないやつらが固まってるぞ」
「これを言うためにマスターの座についたと言っても過言ではないわ」
「ほんといい性格してるよな」
マスターとハルさんはいつも通りだ。グラスもやる気に満ちてるし、ルカもわくわくが隠れていない。レーヌさんはうげぇ……と果てしなく面倒くさそうな顔だけど
まず何から聞けばいいのかさっぱりわからなくて混乱している俺をよそに、流石姉さん聞いてくれた。さすおね!
「あの……神を殺しに行くってどういうことですか?」
「言葉通りよ。この国の神を殺しに行くの」
「いやそういうことじゃ……うーん」
わかる、わかるよ姉さん。気持ちはなまらわかる。マスターののらりくらり感はもうぬらりひょん超えてるもんね
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