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かっこいいセリフではぐらかされたが、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ悔しいのでついでに聞いてみた
「その人はマスターと同じぐらい強いんですか?」
うん、悔しさからなんて質問をしたのだろうか。あのマスターだ。あの神出鬼没で傲岸不遜でなすことすべてがマスターの言う通りとでもいうような、そしてそれを現実にしてしまうようなマスターだ
そんなことはあり得ないかと後悔したのだが、
「強い」
「強いわね」
二人から返って来た答えは同じ。しかも即答だった
え……となった。後ろで聞いている我が家族も同様に。なんだか今日は黒崎さん家の一護くんが出ずっぱりな気がしてならない。だからあえて言おう
なん……だと……?!
「まず間違いなく俺じゃ勝てないな。お前は?」
「どうなのかしらね。比べたくても比べられないもの。昔は私の方が強かったけれど……多分今は向こうじゃないかしら」
「なん……だと……?!」
心の中でだけ言うつもりが今の二人の会話でつい漏れてしまった。いやでもしょうがない。だってあの、『あの』ハルさんがかなわないと、しかもマスターでさへそんな消極的なセリフだ
ふぇぇ……異世界しゅごいのぉ……なんて心の中で思うほど気が動揺していると、そろそろバカと呼ばれた二人が魔法を使いだしそうになっているのをマスターがチラッとみて、言った
そんな中で部屋に待機しているメイドさん方は顔色一つ変えないのは本当にすごいと思いましたまる
「さ、今日の所は休みましょう。たくさん歩いたし、それに観光もまだしてないわ。明日のお昼過ぎまでは自由行動にするから、その時間になったらまたここに集合よ」
はーい、と所々から聞こえ、待ってましたと言わんばかりにメイドさん方がそれぞれを各自にあてがわれた部屋に案内してくれた
個別の部屋の者もいれば、俺たち家族やロイとルイちゃんのような団体部屋に案内されている者もいて分けられていた
案内された部屋はやはり洋風の豪華な部屋で、旅館が和風でその次の日が洋風の部屋とか本当贅沢な旅行だなぁと思いながら、今日起こった色々なことについて三人で話をして時間を潰した
まだ時間はお昼を過ぎて三時のおやつを食べる時間だ。ちょっと小腹が減った
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