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繁華街はお祭りのような様相を呈していた
出店は勿論、何をかたどっているのかわからないようなお面や歌謡大会、同じようなものが担がれた神輿など、まず間違いなく特別な日なのだとわかる賑わいを見せる
耳の尖った美形で高身長のエルフが老若男女問わず闊歩している中、人間が歩いていればそれだけで目立つこと請け合いなのだが、
「あ、ハルさんあっちのも美味しそうですよ!」
「なに!今こっちのを食べてるから買っておいてくれ!」
「了解です!」
見た目黒髪ロングの美人、そしてどうみても幼女にしか見えない二人が食べまくれば注目が集まるのも仕方がない
両手いっぱいに出店の品を抱え、なおかつ口をリスのようにパンパンにするギルドマスター代理。それに加え見た目通りのはしゃぎようをみせる受付嬢
そんな二人を遠目に見ながら、なんとか溶け込んでいる、いわゆる亜人の二人も、存分に楽しんでいた
「おにちゃんこれ美味しい」
「どれどれ……うん、我々の口に合いますね」
懐かしいような、それでいて新鮮な気持ちで楽しむ二人も、依然亜人以上に楽しむ少し前の二人と引けを取らないくらいには楽しんでいた
「うーん、なんというか、やはり亜人の国なのですね、ここは」
美味しいと感じるものを食べながら、ふと呟くロイ
ライトウィル王国での食事も決して不味くはなく、むしろハルの作る料理は天下一品だったのだが、それ以上におふくろの味を舌で堪能していた
しかし、だからこそ気になることがロイにはあった
「なんでエルフ族しかいないのでしょうね……?」
周りを見渡せど闊歩しているのはエルフしかおらず、ロイたちのような亜人は一人として見受けられない
聖国と言えば、多種多様な種族の集まる国として有名で、はぐれとは言えロイのような種族がいてもいいとは言える
「エルフの記念日……?」
「そう考えるのが妥当ですかねぇ」
手に持っていた焼き鳥のようなものを頬張りつつ、気にしすぎかと疑問を片隅に置いておいた
考えているうちに歩調は速くなっていたらしく、いつの間にかハルとルカに追いついていた。先程よりも両手に抱える料理の数が増えている二人に苦笑いを浮かべる
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