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「おや?」
あまりにも体に馴染む空気や雰囲気、口に合うフードを食べて今にも心がぴょんぴょんしそうなルイを微笑ましく見ていたロイは、ふと路地裏から顔をだしてキョロキョロする人影が目に入った
ボロボロのフードを被り、見るからに貧困そうないで立ちだが、何か違和感を覚えたロイ
「ルイ、悪いけどルカお姉さんとハルお姉さ……お、お兄さんたちと先に行っててください」
「……うん」
ハルお姉さんと言いかけたが、前方約50m先から異様な眼光を感じ取り寸でのところで踏みとどまり言い直した。いや、言い直せた
これが最後まで言っていたら……、ブルッと身体を震わせてから、先程の路地裏へと足を運んだ。ルイも渋々と言った感じでステテテと二人の元へ駆けていく
それを見送ってから、ロイは文字通り姿を消した
「なんだか嫌な予感がするんですよねぇ」
ーーーーーーーーーーーーー
「なんだか嫌な予感がする…」
「いやいきなりどうしたんですかグラスさん」
それぞれが今何をしているのかを聞きながら、軽食をもう軽食とは言えない程にパクつく俺たちは、サンドイッチを咥えながらいきなり真顔になったグラスさんに聞いた
いやほんともう軽食じゃないよね。ただの食事だよこれ。カームさんの周りなんて空き皿の方が多いし。グラスさんも負けてないけど
ごくん、と咥えていたサンドイッチを飲みこみ、水を飲んで一息入れるグラスさん。真顔なのが何でか笑える
「ふぅ……」
「それで、どうかしたんですか?」
「あぁ……ミクルは気付いてないのか。この嫌な視線に」
「視線?」
んー、と周りをなんとなく見渡したり、狩人×狩人の『円』を使ってみたが怪しい感じのはなにも探知できない
「視線なんて何も感じませんけど…」
「いや、確かに感じる。ネットリとして這いずるような気持ちの悪い視線だ。数多の女の子をストーキングしていた俺が言うんだ、間違いない」
「なんでしょうねその説得力」
グラスさんが言うんだから間違いない。その界隈においてグラスさん以上に信用のおける人物はそうそういないだろう。変態という界隈において
他にも変態はいるがドストレートに欲望をぶつける変態、それに普段は偽って見てるだけでいいと言いながらも俺にドレスを着せた変態
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