転生日記18P【ゴッド・チーター】

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「お、ようやくか」 色の爆発。そう形容するに相応しい場所で、男が感慨に耽るように呟いた 数えきれないほどの色が混ざり合い、飽和し、名前の無いような色が生まれては消えての繰り返し。数分と居れば吐き気を催すような、そんな空間 「紆余曲折は経たものの、やっぱりあいつを選んで正解だったってことか。うんうん、俺もまだ鈍っては無いらしい」 腕を組んで一人で呟く男は、さて、と改めて周りを見渡した 「『外』の景色はまぁ視えてるとしても、ずっとここにいるのは退屈なんだよなぁ。FF15だってまだ途中だし、キンハーもやりたいし、あっ、たまにはFPSもやりたい」 俺のFPSはBO2で止まってるし、やるとしたらやっぱ4で出来るやつだとして……、と永遠と自問自答を繰り広げて口の止まらない男 そんな絶賛考え中の男の背後。交わった色が混濁した世界で男以外のモノが姿を形成していく 気持ちの悪い色が集まり徐々に徐々にソレが形を成していき、数秒でソレはドラゴンの頭部となった 「ーーーーーーーーー!!!!」 出来上がった瞬間に耳を破壊するようなけたたましい咆哮が放たれ、空間の中心にいる男へと向かって超スピードで迫る しかし、男はそんなことなど全く気付いていない風に独り言を続け、うーん一回原点回帰の意味でもスーファミとかに戻るか……と結論らしい答えにたどり着いた時、背後から迫ったドラゴンの頭部を模したソレも、男へとたどり着いた 鉄をもかみ砕かんばかりの顎が、鋭利な牙で男を食いちぎろうかという瞬間 「うるせーよ」 まるで親が子供に軽く小突くような感覚で、軽く握った手を後ろも見ずに頭部に当てた それだけでドラゴンは脳髄をぶちまけた。ドラゴンが脆いのか男が圧倒的なのか。それさえも見誤らせるほどの一瞬だった 「ったく、懲りないねー君たちも」 どこを見るのでもなく、どこへ向けるのでもなく口を回す 「発想はよかった。発想は素晴らしいかったぜ?俺専用の空間をハックして『自分の世界』に書き換えるのは素晴らしい。だけどなぁ、もう一つ押しが足りねーよ。足りねーよなぁ。それを数で補おうってのもちょっとおつむが足りねーよなぁ」 男の周りにはドラゴンの頭部だけでなく、伝説上の生き物たちの残骸が山のように転がっていた
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