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「女の子同士も中々いいものよ。フフフフ…」
「……そ、そうですか」
さらに笑みを深めたマスターになぜか冷や汗が止まらなかった。これはダメだ。この流れはダメな気がする
「レーヌが気絶して丁度暇をしていたところなの。貴女もどう?私の部屋に」
「アーチョットヨウジオモイダシタノデオサキニシツレイシマスー」
「あら、残念ね」
片言なんて気にしない。失礼を承知の上で踵を返し脱兎のごとく来た道を戻る。超逃げる。なんなら便意が引っ込むぐらいに
流石チートの身体能力。数秒で部屋の前に着き、ドアノブに手をかけてようやく息を大きく吐いた
「こ、怖かった……レーヌさんがド直球だとしたらマスターは変幻自在な変化球か…」
ブルルと身体を震わせてから部屋に入った
あれ、早かったのね、という笑顔の姉さんを見てドッと力が抜けるのが分かった。マスターがどこまで本気でどこまでが冗談なのかがわからないから怖い
「ちょっとトイレの近くで怖いめにあって…」
「……?一緒に行ってあげようか?」
「いや、もう大丈夫」
多分もういないだろうけどなんだか、うん。それに軽食を頂いてた時の視線もあるし、あんまり迂闊にお城の中は動かない方がいいかもしれないな
さて便意も引っ込んだことだし寝よう、そう思ってベッドに向かったところで、部屋の扉がコンコンとノックされた
「はーい」
ビクッとする俺を他所に姉さんが扉を開ける
まさかマスターが……、と思ったが杞憂だった
「ミコトか、悪いな自由時間に」
「いえいえ、それでどうかしたんですか?」
「いや、それがなぁ」
入ってきたのはハルさんだった。その瞬間に安堵の息を漏らした。ていうか俺ビクつきすぎだな。でもそれだけさっきのマスターは怖かった…
「ーーーってわけなんだ。何か知ってるか?」
「うーん、私たちはずっとお城の中にいたので…」
どうやら何かあったらしく、珍しくハルさんがどうしようかという思案気な顔をしていた
「何かあったんですか?」
「あぁ、どうやらロイが帰ってこないらしんだよ」
言ってから、スッと後ろに下がると、ドアの影で見えなかったルイちゃんがいた
いつもあまり表情は変えないが、今は眉が下がってしょぼーんとしている
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