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マスターの釈然としない答えに疑問符が取れない俺たちだったが、ことマスターの言う事に今まで間違いなど無かったためか、マスターが言うのなら、と疑問を飲み込む
が、流石長い付き合いなのかハルさんが質問
「じゃああいつは今どこで何してるんだ?」
マスターがクスクスと笑い、眠ってしまったルイちゃんの頭を撫でながら、答えなのかよくわからない返答をした
「そうねぇ、今頃は……正義のヒーローにでもなってるんじゃないかしら」
ーーーーーーーーーーーー
「ラスト、ですね」
ドスッ、と重たい一撃が鳩尾にめり込み、苦悶の声をあげることもなく獰猛そうな獣人が冷たい地面に落ちた
他にも地面と間接キスをしている者、壁にめり込んでいる者など、一見して優男にしか見えないロイがやったとは思えない空間が出来上がっていた
「さて、と」
最後の獣人を沈め、踵を返す
「なぜあなただけ意識があるのか……いえ、意識を残されたのかわかりますよね?」
「ひっ…!」
「本当にびっくりしましたよ。いきなり襲って来るんですから。まさか理由も無しに襲うはずもありませんし、お聞かせ願えますか?」
ロイが路地裏の開けた場所に姿を現すと、いかにも、という風貌な獣人がボロボロローブを囲っていた。よくわからない状況だったので退散したかったロイだが、帰してくれるはずもなく
『なんだぁ?てめぇ。俺たちの獲物になんか用かぁ?』
と、いきなりの戦闘へ
だからあまり知能が高くなさそうな者たちを昏倒させ、その中でもまだマシだろうという者を選んで、口は動かせる程度にのしたのだった
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺たちは確かに小悪党だが列記とした賞金稼ぎだ!指名手配されてるやつの賞金首を頂こうってだけさ!」
動かない身体を必死に揺らして弁明する獣人に、ロイは嘘はなさそうだと判断。さらに問い詰めた
「ならなぜ私を襲ったのですか」
「……同業者かと思ったのさ。このボロキレを狙ってるやつは今この国に沢山いる。人数が増えれば取り分もその分減るだろ」
「この子を…」
チラッと見ると、成人があれだけの大立ち回りをしたにも関わらず、動くどころか未だに最初にかがんだ場所から微動だにしない
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