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右手の小指だけがしびれるというよくわからない寝方をしていたせいか、二十二時に眠ったのに時計はまだ二時にも達していなかった。
僕は暗闇の中で掛け時計の示す時刻を読み取るのが得意だった。
なぜかはわからないが、小さいころからそうだった。
小指の感覚が戻ると、ひどく喉が渇いていることに気づいた。
今日はクーラーをつけずに眠ったので、身体の周りを包む自分の体温が層のようによく感じ取れる。暑い。
蒸し暑い部屋の中に外から三種類くらいの虫たちの涼しげな声が迷い込んでくる。
この部屋には窓が一つしかないので空気の流れが悪いのだ。
冷蔵庫の明かりに目を細めながら二リットルペットボトルのお茶を取り出してそのまま飲んだ。
冷たすぎて頭がキンとしたが、幾分か体温が下がったようにスッキリとした気分になった。
虫の声を聴きながら暗闇の中でぼうっとする夜もそれほど悪くないものだ。
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