堕ちた詐欺師の狂詩曲

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……時は流れ、シュウが四つの頃だ。 今日も元気に、シュウは外へと遊びに出かけた。 「いってきまーす!」 「おにいたん、まってー!」 「暗くなる前に帰ってくるのよー!」 母親に見守られながら、玄関を勢いよく飛び出す。 小さな小さなオレンジ色の髪を持つ女の子……二歳となった妹のユナが、必死に兄の後ろを追い掛けていく。 そんな必死なユナのことは大して気に留めることはなく、シュウはいつものように隣の家の幼馴染みを迎えに行った。 「ルミ~!きょうもきたよ!」 「シュウーっ!まってたよ!」 シュウがその家の二階に向けて叫ぶと、窓からピンクの髪を右側に小さく縛った可愛らしい女の子が首を出した。 「まってて、すぐいくから!」 その女の子、ルミは首を引っ込めると、本当にすぐ下へ降りてきた。 「ねぇねぇ、シュウっ!きょうはなにしてあそぼう!?」 「バトルごっこ!」 こうしてはしゃいでいる姿は、本当にただの子供そのものだ。 彼等の未来を知っているものが見れば、意外に思うのだろう。
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