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何時だろうと携帯を探して辺りに目をやった瞬間、
「あっ…」
…上総の着信音が流れ始めて探していた物は部屋の中央のローテーブルの上でチカチカと赤く光っている。
そういやけっきょく夕飯を食い損ねた。
ベットをおり、そこまでずるずる這っていく。
取り上げると携帯電話は赤く発光しながら再び同じメロディーを頭から流し始めた。
「…はい」
ボタンを押し、左耳に押し当てる。
「梓!」
だいぶ待たせたのに気にしてないのか、いや待たせたから余計にためが入って勢いが増したのか、
「…なんだよ」
「お待たせ!」
ライブの盛り上がりの興奮そのままの声が飛び込んでくる。
「待ってねーよ」
は…たぶん嘘。
「あはははは」
酔っているわけでもないのに楽しそうだな。
「…どこにいんだよ」
「会場出てー、うーん…駅から向かってる!」
「ふーん」
それにしては後ろが静かだ。
夜だからって人が集まっていてその静けさはちょっと不思議だ。
「そこ、どこ駅だよ」
疑問を投げると、
「ああ、じつはさ…」
と、
「…は?」
呆気にとられる駅名を上総は口にした。
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