祭りの夜

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やっぱりお祭りは楽しい。 人もだんだん増えてきて、にぎやかさが増した参道の屋台をひと通り見て廻り 再び境内に戻った時には少し暗くなってきた。 ステージでは三味線の演奏をやっていた。 でも民謡ばかりとかではなく吉田兄弟みたいなノリのよい曲も混ぜてあり、陽菜ちゃんもちゃんと見ていた。 「こうやって見ると三味線もギターみたいでカッコいいね。」 「うん、やっぱり選曲が大事よね。」 次の出し物まで時間があるから席を立ったら 「あら? なにこれ。」 陽菜ちゃんがなにか拾った。 「どうしたの?」 三味線のバチのようなものだったけど、ちょっときれいな飾りが掘ってあった。 「今の人達のかなぁ。孝ちゃん行こ。」 「あ、ちょっと待ってよ。」 ステージの裏に行き、聞いてみたが 『似てるけどこれは三味線のバチじゃない。 きれいな飾りが施してあるから持ち主が見つからなければ大切に持っていなさい。』 と言われた。 「違うみたいだね。」 「うん、でもホントきれい。」 陽菜ちゃんはしばらくじっと手にしたバチを見ていた。
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