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「はい、あーん」
「「あ~ん」」
さっき屋台で買ったラスク(こっちでは一口大の立方体に切ったパンにチョコをかけたもの)を二人の口にポイッと入れる。
「おいしー!」
「……甘い…」
「これ、ママも大好きなの。でも、あんまり食べるとお昼が入らないからね」
「「はーい」」
うんうん、素直だねぇ~うちの子達は!
「さ、次はどこ見る?」
「うーんとね~、あれ!」
スズネが指差したのは、果物屋だった。
二人の手を再び引いて、そのお店へと向かう。
「わぁー、大きくて黄色いのがあるー!」
「……私の頭より…大きい……」
目を見開いて、キャッキャッと歓声を上げる二人を微笑ましく見ていると、店のおばちゃんが出てきた。
「いらっしゃい!何にする?」
「そうですねぇ~子供達が好きな果物ってありますか?」
「そうだねぇ~これなんかどうだい……ん?あんたどっかで……」
私を指差して思案顔になるおばちゃん。そして、みるみるその表情が驚きに変わっていく。
「あんた……領主様…いんや、王妃様じゃないかい!」
おばちゃんの声に、通りの人が一斉にこちらを振り返った。
あらら~バレちゃったね。
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