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「お久しぶりです。店主」
「あらまぁ~また綺麗になって!最近姿を見なかったけど、元気そうで何よりだよ!」
笑いながらそう言い、店主は私のスカートの裾を握る二人に目を落とした。
「こんにちは、お姫様達。今日も元気そうだねぇ」
「うん、元気だよー!」
「元気……」
それぞれ返す二人に、おばちゃんはそうかい、と言ってはっはっはっと笑う。
「それは何よりだよ!さ、好きなのを選んでいきなさい。サービスするよ!」
「いけませんよ。ちゃんとした値段で買わないと、私が旦那様に怒られてしまうわ」
こういうのは賄賂だ、とか言って騒ぐ人が必ず出てくる。だから、私達王族は他人から好意としてでも受けるわけにはいかないのだ。
「そうかい?ま、こっちは助かるけどね」
店主がそう言うと、周りからも違いない、と笑いが起きる。
皆、本当に楽しそうだ。これも、アイラスとルリがこの街を護ってくれているお陰だろう。
「それでは、何かおすすめの果物をください」
「あいよ。ちょっと待ってておくれ」
店主は茶色い紙袋を手に奥へ引っ込んだ。そのタイミングを狙っていたかのように、通りにいた人達が私の元へと集まってくる。
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