7194人が本棚に入れています
本棚に追加
「王妃様ー!うちの畑で採れた野菜だ!持って行ってくれ!」
「姫様達ー、お菓子あげるよ!」
「うちの店にも寄ってくれー!」
押し寄せる人の波に、二人共私のスカートを握って縮こまってしまっていた。
「ちょっと皆さん落ち着いてくださーい!!」
拡声魔法で叫ぶと、周りの動きが一時的に止まる。その隙に私は二人を抱き上げた。
「大丈夫?」
「大丈夫ー!」
「…息苦しかった……」
右手を上げて元気に返事をする涼音に、ぷはっと息を吐くシャルロット。
「はい、お待ち!」
ちょうどその時、おばちゃんが果物の詰まった袋を持って現れた。
「おいくらですか?」
「銀貨三枚だよ」
「分かりました。シャル、お財布出すから払って」
「……あい」
頷くシャルの目の前にお財布を出現させる。シャルは小さな手で受け止めて、中から銀貨を三枚取り出しておばちゃんに渡した。
「はいよ、確かに。偉いね~ちゃんとお買い物できるじゃないか」
「……えっへん」
両手を腰に当てて胸を張るシャルに、私とおばちゃんは顔を見合わせて笑った。
「むぅ~、私がやりたかったのに~」
シャルが誉められているので面白くなさそうに口を尖らせる涼音に、また私は笑うのであった。
最初のコメントを投稿しよう!