7194人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、引き止める領民の皆さんを振り切る形で領主屋敷前に転移したにも関わらず、両手にはいっぱいの差し入れが。
「ふぅ、大変だったね」
「……お菓子いっぱい…」
「食べたーい!ねぇ、食べちゃダメ?ママ」
「アスランと一緒に食べなさい」
「「はーい」」
二人を引き連れて屋敷の門へと向かう。門番は私の顔を見るなり、素早く敬礼して門を開けてくれた。
「ありがとう。これ、貰い物なんだけど後で食べてね」
「あ、ありがとうございます!」
せんべいに似たお菓子を差し入れて、敷地内へと入っていく。
「「「お帰りなさいませ、リョウ様」」」
「ただいま。皆元気そうね」
出迎えてくれたメイド達に荷物を預けて屋敷の中に入る。
「お帰りなさい。リョウ」
「ただいま、ルリ」
フレアスカートのワンピースにストールを纏ったルリが、スカートの端を持ち上げて一礼する。
「お久しぶりです。王妃様」
その隣には、亜麻色の髪の少年。ルリの息子であるアスランがペコリと礼をした。
「あら、これはご丁寧に。元気そうで何よりよ。アスラン」
微笑み返すと、アスランは嬉しそうにふにゃっと表情を崩したが、直ぐにはっとなって表情を戻した。
あはは、可愛い奴だなぁもう!
最初のコメントを投稿しよう!