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涼音から漏れ出した魔力は、一つの塊となってシャルロットに向かって飛んでいく。
バシィッ!!
「あ……」
「もう、危ないでょ?」
涼音の顔から血の気が引いていく。二人の間に割り込むように出した私の手の甲には、無数の引っ掻き傷が刻まれ、血が滴っていた。
「それに、実の姉妹なんだら簡単に嫌いとか言っちゃダメよ。ママも悲しくなっちゃうから」
「ママ……血が……」
「えぇ、ちょっと痛いわ」
「っ!」
「でもね。私にはあなた達が傷付け合う方が辛いわ。力を持つ者なら、相手に与える影響をちゃんと考えなければならないわ。分かる?」
「……うん」
「そう、じゃあ、シャルロットにごめんなさい出来る?」
「うん……ごめんなさい……」
素直に謝る涼音に、シャルロットは優しく頭を撫でてあげていた。仲直り出来たみたいだ。
「よくできました」
「ママ!お手て痛い!?」
「大丈夫よ。ママは強いから。それより、三人で遊んでらっしゃい」
「でも……!」
「いいから、行きなさい」
「……うん」
「いい子ね。さ、シャルロットとアスランも」
「……うん」
「はい」
三人は連れ立って屋敷の中庭に向かって歩き出す。一度、涼音が心配そうに振り返るので、私は笑顔で手を振って大丈夫だとアピールした。
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