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「おはよう、父さん」
「あぁ、おはよう」
そこにいたのは他でもない。我が父であり、現在フリージア王国の騎士団長を預かる篝野 宗一郎なのだ。
毎朝、父さんに稽古をつけてもらうのがこの子達の日課である。
もしもの時は、自分で自分を護れるようにね。
「ほら、二人共お祖父様にご挨拶なさい」
「おはようございます!お祖父様!」
「…おはよう……ございます……」
「はい、おはようございます。涼音は今日も元気だね。シャルロットはまだ眠いかな?」
この挨拶は、最早いつものお約束と化しつつある。
この早朝訓練だって、実際は父さんが孫達と触れ合う少ない機会なのだ。
「さて、始めようか。先ずは素振りから」
「「はーい」」
二人は返事をして、木製の模擬剣を取ってきて父さん前に並ぶ。
私は少し離れたベンチに座り、ボックスから毛糸の編み物セットを出して途中まで編んでいた子供サイズのセーターを編み出す。
「ていっ、やぁっ!」
「……えいっ!」
30分くらい編んで顔を上げると、二人は互いを相手に模擬戦をしていた。
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