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ーーーシャルロット side
「……て!……きて!…………起きて、シャル姉!」
「……ふぁ?」
微睡みの淵から容赦なく引き上げられ、ゆらゆらとはっきりしない視界にベッドの縁からひょっこり顔出す女の子の顔が浮かび上がってくる。
「おはよ、シャル姉」
「……おはよ」
私の返事ににぱっと太陽のような笑顔で返してくるのは、長くて深い藍色の髪にアイスブルーの瞳が印象的な私の双子の妹だ。
大人しい髪や目の色合いとは対照的に、その性格は元気で素直な太陽みたいな娘で、私とはまた正反対である。
私はと言えば、パパ似のアメジスト色の瞳に燃えるような赤毛がなんとも鮮やかだが、性格は無口で内気だと自分でも思うくらいだ。
よく内気な姉が明るい妹に嫉妬する、なんてことがあるらしいけど、私はそんなことはない。
確かに、色々ズバッと言えるスズが凄いな、って思う事はあるけど、あれは結構考えなしでハラハラさせられることも少なくない。
私達は、フリージア王国という大国の王女として生を受けた。
その地位に相応しい振る舞いが求められるのだと、パパからよく聞かされている。
だから、私達はよく考えてから発言しなきゃいけないんだけど、この元気印の妹はいつも少しオーバードライブ気味なのだ。
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