新たなる復讐。

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 憎い、あいつらが憎い。  先日の数学のテスト、俺は0点だった。俺は再テストをすることになった。  俺の心に憎悪の黒い炎が勢い良く燃え、俺は激しく雄叫びを上げた。  その日から、俺は復讐を決意しテストの復習を繰り返した。  血の滲むような努力。手は酷使しすぎた為、激しく痙攣を起こし使用が出来なくなってしまった。  毎日、風呂も入らず、睡眠もほとんどしなかった。ご飯は数分で胃の中にかっ込んでいった。  気づけば俺から、皆遠ざかり俺に近寄るのはハエぐらいだった。  しかし俺はストイックに復習を繰り返す。  そして、俺はテストの問題の一問一句、全て覚えていた。  いよいよ再テストの時。教室には俺一人だけだ。  俺の担任の女は長い黒髪で、まるで日本人形のようだ。先生がテスト用紙を机に裏返して置く。  俺は配られたテスト用紙の裏の白紙を見ながら笑う。 「準備は万端だ、もはや俺に敵はない」  教室の開かれた窓から強く吹き込んだ風が緑色のカーテンを激しく、たなびかせた。それと同時に先生の声が掛かった。 「開始!」  俺はテスト用紙をゆっくりと裏返す。  いよいよ自分自身、馬鹿にした友人達、呆れていた先生へ復讐の時が来た。 「ハハハハハ」  問題を見た俺の目から涙が零れた。  問題が前回とまるで変わっている。  考えてみれば当たり前の話だった。  諦めた俺はテスト裏返し、何も書かれていない白紙に戻した。  そして、暗記した前回のテストの時の問題とその答えを一問一句間違えずに書いた。  その後、テスト用紙が帰って来て見てみると、大きな花丸がテスト用紙の裏に付いていて、用紙の上の方に『先生の気持ち的には100点』と書かれていた。  俺の心の柔らかい部分はすっかり先生に奪われてしまった。  恋心を奪われた俺の心に復讐心が生まれ、今度は俺が先生の恋心を奪うことを決意した。
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